Carmen Tirado”Japón ante el derecho internacional”(Thomson Reuters-Aranzadi)のご紹介

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本研究会において大変お世話になっているサラゴサ大学のCarmen Tirado博士が、「Japón ante el derecho internacional(国際法における日本)」という書籍をスペインで上梓されました。

Carmen Tirado"Japón ante el derecho internacional"(Thomson Reuters-Aranzadi)

[URL] http://www.marcialpons.es/libros/japon-ante-el-derecho-internacional/9788490590591/

目次は次のとおりです。

国際法における日本(目次)

はじめに
1.日本国憲法の論争点、第9条:対外関係における反響と改正の道筋
1-1.日本国憲法第9条の起草:現代国際法におけるその意義
1-2.2005年自民党小泉政権による改正提案の挫折
1-3.2012年安倍首相の新たな改正目論見
2.日本の自衛隊とその海外派遣
2-1.自衛隊の合憲性:政府見解と判例
2-2.国防計画と自衛隊の役割
2-3.自衛隊の海外派遣
2-3-1.初期段階
2-3-2.周辺事態に際して国の平和及び安全を確保するための措置法
2-3-3.海外派遣を認める法律:2001年のテロ対策特別措置法と2003年のイラク復興支援法
3.日本にとって特別の関心事項とされる国際条約
3-1.国内法化された国際条約の締結
3-2.日米安全保障条約:その違憲性如何に関する論争
3-3.国際的な子の奪取の民事面に関する1980年のハーグ条約
3-4.国際刑事裁判所規程加盟
3-4-1. 東京の裁判所における経験
3-4-2.国際刑事裁判所規程への加盟遅滞
3-4-3.国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律
3-5.ヨーロッパ連合との政治的関係の初期段階:刑事共助協定
3-6.懸案事項:市民的及び政治的権利に関する国際規約の死刑廃止に向けた第二議定書への署名
4.日本の領域問題
4-1.対中国
4-1-1.尖閣諸島の主権
4-1-2.沖ノ鳥島沿岸の排他的経済水域
4-2.対韓国:竹島
4-3.対ロシア:千島列島すなわち北方領土
5.国際連合における日本
5-1.安全保障理事会に対する希求
5-2.日本の政府開発援助

また、この書籍において日本スペイン法研究会の黒田清彦会長がPrólogoを執筆されており、その内容につき一部邦訳(黒田会長によるもの)したものを掲載いたします。

日本・スペイン交流400周年(2013-2014)のこの機会に、Thomson Reuters-Aranzadiから、世界で初めて両国の専門家の協力による“Introducción al Derecho Japonés Actual”(現代日本法入門)が出版されたのに引き続き、Carmen Tirado博士による本書が上梓されたことは、多くの人々の関心を引く、まことに時宜を得た出来事である。

本書の特長を4点ばかり挙げると、第一に、本書は、日本における様々な時事問題を扱っているが、いずれも法的観点からの考察であることが重要である。国際関係または政治学の観点からの展望はスペイン語でも既に存在するからである。第二に、西欧ではあまり知られていない、たとえば中国、韓国、ロシアとの領土・領域問題のようにマスコミが紹介しても法的問題点が必ずしも追究されない事項を詳細に分析している。第三に、今日の日本において議論のあるいくつかの問題、たとえば子の国際的奪取、死刑問題、日米安保条約下の米軍基地など容易ならざるテーマを取り上げているが、常に厳密な法的視野に立ち、極めて正確かつ客観的に考察している。最後に、著者は、西洋語の翻訳ではなく(翻訳されていないものも多い)日本語の法令文献に直接当たっているから、その分析は信頼に値する。さらに、情報源は日本の法令や日本語文献に限られない。学界のみならず外交畑の専門家にも直接会って得られた情報は貴重である。これは、著者が2012年の夏に南山大学(名古屋)法学部の客員研究員として招聘された際に行った数々のインタビューに基づくものである。したがって、その分析は極めて客観性を帯びたものと高く評価することができる。

要するに、本書は、国際法を前にした日本の立ち位置を理解するのに必要な著作であり、国際法の専門家のみならず日本法の他の分野に関心を抱くすべての人々にとっても有益この上ない秀作であると確信する。