ルイス・ペドリサ会員&加藤信吾会員と読むカタルーニャ自治州「独立宣言」無効判決のカンタン解説及びスペイン総選挙前世論調査
スペインの憲法裁判所は、カタルーニャ自治州議会の「独立宣言」を違憲であると判示しました。ツイートのリンク先は憲法裁判所の判決文のPDF(スペイン語)です。… https://t.co/CV1CBZ6tnR
— 日本スペイン法研究会 (@adhj2005) 2015, 12月 2
本研究会会員の加藤伸吾会員とルイス・ペドリサ会員の某SNS上のやり取りを許可を得て本ブログに掲載しています。ここには、上に掲げたカタルーニャ自治州「独立宣言」判決についての解説を、ルイス・ペドリサ会員から簡単にしていただいております。
このカタルーニャ州議会の同州「独立宣言」判決に読み取れることを、憲法論がご専門の大阪大准教授ルイス・ペドリサさんが教えてくれました。以下連投:
1)主権は全国民に存すること
(続
— 加藤伸吾/Shingo KATO (@shingokatou) 2015, 12月 3
承前)
2)スペインはいわゆる「闘う民主政」ではない(つまり、個人はもちろん、政党や団体は、憲法体制に真っ向から反する政治的理念を主張すること自体が、それが法の定める諸々の手続を侵害しない限り可能であるのみならず、尊重さるべき政治的スタンスとして憲法により保障される自由である)続
— 加藤伸吾/Shingo KATO (@shingokatou) 2015, 12月 3
承前
3)ある自治州がスペインから独立し、新たな主権国家になることは、憲法改正を通じて可能であること。
4)時に、民主主義の原則および法治国家(法の支配)の原則は、対立しうるどころか、表裏一体をなす。
つまり、憲法裁が言っているのは憲法論のイロハに過ぎない(トメ
— 加藤伸吾/Shingo KATO (@shingokatou) 2015, 12月 3
この判決について、カタルーニャの地方紙”lavanguardia”の記事を加藤会員が紹介されています。
El TC niega que se pueda oponer la democracia a la Constitución https://t.co/IQy9HeqycM… カタルーニャトップ地方紙「憲法に楯つくに民主主義をもってし得ずとスペイン憲法裁」との見出し。つまり(続
— 加藤伸吾/Shingo KATO (@shingokatou) 2015, 12月 3
承前)スペイン憲法裁の判決は、カタルーニャ州の独立への民意(=カタルーニャ州議会で独立派の議席が過半数であること)に優先する、と憲法裁。カタルーニャ独立派は「独立させることこそが民意の尊重であり民主主義」との論理。
— 加藤伸吾/Shingo KATO (@shingokatou) 2015, 12月 3
El sí a la independencia se mantiene por encima del 46% https://t.co/bqBDnB3sol カタルーニャ独立プロセス支持46.6%、不支持48.2%。州政府世論調査センター調査最新の結果。真っ二つ。
— 加藤伸吾/Shingo KATO (@shingokatou) 2015, 12月 3
El Círculo de Economía rechaza la vía unilateral y pide respeto a la ley https://t.co/6PnjSkrCU5 vía カタルーニャ財界は(スペイン)法の尊重を独立派に求める、つまり独立には反対大勢
— 加藤伸吾/Shingo KATO (@shingokatou) 2015, 12月 3
一方、カタルーニャ州議会で従来多数を占めたCDC(現マス州首相の政党)のウリオル・プジョル(長年州首相だったジョルディ・プジョルの息子)の不正蓄財疑惑追求の手を緩めず。ウリオルが議員時代既に資金迂回の事実確認と報道 https://t.co/5XoH7JxkXv
— 加藤伸吾/Shingo KATO (@shingokatou) 2015, 12月 3
カタルーニャ州マス暫定州首相(独立派連合JxSi):「独立宣言は法的には無効となったが、政治的にはなっていない」「カタルーニャ住民の(独立への)政治的意志は憲法裁判決で無効になるものではない」 https://t.co/ohNItxFtoO
— 加藤伸吾/Shingo KATO (@shingokatou) 2015, 12月 3
さて、総選挙を前に、スペイン政府社会調査センター(CIS)の総選挙前世論調査の結果が出ました。本研究会twitterでは調査結果の原文をリンクしました。
スペイン政府社会調査センター(CIS)の総選挙前世論調査の結果です。PDFでかなり細かく結果を見ることができます。… https://t.co/BIPVs3Z0l0
— 日本スペイン法研究会 (@adhj2005) 2015, 12月 3
では、スペインではどのような報道をされているのか?スペインの左派系有力紙のEL PAISの記事を引用しながら、加藤会員から解説をしていただけています。
スペイン政府社会調査センター世論調査による下院議席(定数350):
国民党(中道右派〜右派):120〜8(現有180)
社会労働党(中道左派):77〜89(110)
市民党(中道右派新党):63〜6
ポデモス(左派新党):23〜5
https://t.co/2EaNpnOlRw
— 加藤伸吾/Shingo KATO (@shingokatou) 2015, 12月 3
続)
アン・クムー・プデム(ポデモス系、バルセロナ市議会与党、カタルーニャ独立には微温的):10〜1
カタルーニャ民主集中(CDC、中道右派、カタルーニャ独立派が主流):9
カタルーニャ共和左派(ERC、カタルーニャ独立派):7
(続
— 加藤伸吾/Shingo KATO (@shingokatou) 2015, 12月 3
承前)
クンプルミス-ポデモス-アス・エル・ムメン(バレンシア州の市民運動系政党連合):7
エウスカレリア・ビルドゥ(バスク民族主義左派):6〜7
エン・マレア(ポデモス系ガリシア州):5〜6
バスク民族主義党(バスク民族主義穏健派、中道右派):5
(続
— 加藤伸吾/Shingo KATO (@shingokatou) 2015, 12月 3
承前)
統一左翼(共産党含む左派政党連合):3〜4
国民党絶対過半数届かず(136議席に最低でも8足らず)。協定相手は従来ならCDCだがカタルーニャ問題で対立しておりかなり難しい。市民党は現時点では首相になれなければ野党にと明言。となると組む相手がいない。(続
— 加藤伸吾/Shingo KATO (@shingokatou) 2015, 12月 3
承前)
スペイン憲法99条は、一回目の首相信任投票で絶対過半数が取れない場合、二回目投票の単純多数によって信任と規定。つまりラホイ首相続投は可能。しかし不信任も絶対過半数で成立するため、国民党以外が団結すれば倒閣が可能。その場合代替候補1名を立てる必要(建設的不信任)。(続
— 加藤伸吾/Shingo KATO (@shingokatou) 2015, 12月 3
承前)他方首相が提出できる信任投票もあり、こちらは単純多数で可決可能。信任決議は憲法112条、不信任決議は同113条。
感想:この世論調査通りに総選挙結果がなれば、市民党が強力なキャスティングボートを握ることに。しかし国民党は後一押しと思っているはず。カタルーニャ問題で(続
— 加藤伸吾/Shingo KATO (@shingokatou) 2015, 12月 3
承前)国民党は相当強硬な態度に出ているが、その裏付けにはカタルーニャ以外のスペインではカタルーニャ独立問題で強気に出た方が票が取れると踏んでおり、それがそのまま当たった格好。
社労党は市民党とポデモスに挟撃されて行先不透明。市民党アルベール・リベーラは同じ世論調査の(続
— 加藤伸吾/Shingo KATO (@shingokatou) 2015, 12月 3
承前)政党指導者に対する評価で一位を獲得、キャスティングボートと併せこのまま行けば満足の結果。ポデモスは一見少なさそうだが本体だけでなく「ポデモス系」を足せば40数議席に達する。
確かに二大政党時代は一度終わるが、右派の国民党+市民党、左派の社労党+ポデモス+統一左翼の(続
— 加藤伸吾/Shingo KATO (@shingokatou) 2015, 12月 3
承前)左右二大ブロックは変わらないとの分析(野上和裕、2015年スペイン史学会大会報告)の通り。同報告では、そのブロックの起源は内戦期にあるとする。なお二大あるいは四大政党でも地域主義小政党群の存在は変わらないが、従前のキャスティングボートを市民党に奪われたのは特筆に値する(続
— 加藤伸吾/Shingo KATO (@shingokatou) 2015, 12月 3
承前)では今後四大政党+少議席地域政党の構成が安定するかといえばそうとも限らない。市民党、ポデモス(とポデモス系地域政党)が今後特に地方政治の実績・人気次第で全国でも退潮の可能性あり。今のところ、マドリード、バルセロナ等大都市部の市民運動系市長の実績未知数、人気は高い。(トメ
— 加藤伸吾/Shingo KATO (@shingokatou) 2015, 12月 3
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日本スペイン法研究会 (Asociación de Estudios de Derecho Hispánico de Japón)は、日本におけるスペイン法およびこれを継受する諸国の法制度に関する研究を発展させ、当該研究に関心をもつ国内外の研究者およびその他の者の交流ならびに協力の促進に寄与することを目的として、2005年5月に設立されました。